かりんどたばた出産報告「元気な女の子ですよ」の巻
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花梨のどたばた出産報告 【「元気な女の子ですよ」の巻】
助産婦の武谷さんの手をしっかりと握りしめながらついたのは、もちろん分娩室ではなくて手術室です。
「じゃあ、ここでね。反後さん頑張ってね」「ありがとう」武谷さんに励まされ、手術室の扉をくぐります。もちろんストレッチャーにのせられたまま・・・。
 そこには手術室ならではの、大きく圧倒されるオレンジ色のライトがこうこうと照らされています。この時点で、人生4度目の手術を覚悟します。ただ、今回大きく違うのは、私のおなかの中で新しい生命が、その誕生を待って息づいているということ・・・。
 赤ちゃんのトクットクッという心音が、私の緊張感に呼応して早くなるのがわかります。私がしっかりしないと赤ちゃんもドキドキだよね・・・。
ストレッチャーから手術台に移り、術着をどんどん着せられていきます。手術室ではなるべく目を閉じていましたが、聞こえてくる声は、皆といっていいほど聞き慣れた(顔なじみの)看護婦さんや助産婦さんの声です。あぁ西村さんだ・・・といった調子。
その西村さんから「今どんな気分ね?」と聞かれ「もう、まな板の上の鯛と同じ。どうにでもなれって感じ」と言うと「何いってんの!」としかられます。まるで母親に怒られた気分。でも、あっそうだった・・・と気を引き締めます。これが顔なじみのよさですね。
あお向けの私に、「きついでしょ?横を向こうか」と、向きを変えて下さいました。そして、ギュッと手を握って下さいます。
ただ、ここでひとつ何かいつもと違うなと思ったのは、そろそろボーッとなって意識が朦朧としてくるはずなのに・・・さっぱり・・・意識がはっきりとしたままです。「おかしいなぁ・・・?」
 そうしているうちに、とうとうDr小山の登場です。今回は蓮田先生は忙しく、お手伝いいただいたDrは林先生。その2人の登場により手術準備が整いました。
「では、麻酔の注射をしますよ。足を抱えるように丸くなって!」
普通の身ではなくお腹が大きいわけですから、丸くなるのは難しい・・・そして、腰痛麻酔の注射が打たれます。痛いかって?当然です。でも、慣れたものでそう驚きはしません。
「すぐしびれてきますからね」 はいその通り、どんどん足の方がしびれ出します。でも、感覚はしっかりとしています。「痛い」という感覚がです。
それなのに、もうお腹を切るところあたりの消毒がすんで、何やら刃物があてられます。
「痛い!」「あっ痛いですか」「ではここは?」「痛い!」「ではここは?」「痛い!」・・・そんなことを10回以上繰り返し「痛いですか?」「そこは何とかいいです」そういうと、「わかりました。では始めます!」
エーッ?!もう始めるの?まだ意識はしっかりしてるし、こんなに痛いのがわかるのに・・・エーッ もう切るのォー? エーッ!
メスが入ります。スーッ「痛い!」はっきりとわかります。でも、あとはとにかく我慢です。
大きくしびれている足に、先生の体があたると それだけでまた痛い・・・「痛いー!」
「わかりました。ソフトにソフトに・・・」先生何いってるの?!もう頭の中は、これまでの手術の経験などかき消されました。でも、もう始まったのです。とにかく、お腹の癒着がありませんように・・・そして、赤ちゃんが元気でとりあげられますように・・・
「グォー」へその緒でつながっているからでしょう。へそから下の臓器が引っ張られ言葉にならない痛みと苦しみです。でも、我慢我慢です。「痛い」「痛い」そういう私に、先生も手をにぎる看護婦さんも「痛いね。もう少しもう少し・・・」そういいながら、いったいどれほどの時間がたったのでしょうか・・・?
何回かお腹の臓器を引っ張り出されたような感じのあと、ほんの数秒の間がありました。
もしかして?いよいよなの?「反後さん、痛かったね。さあ、もう産まれますよ」
私は「はい」とまるで小学一年生のように大きくはっきりと返事をしました。
「ではいきます」グォーッ! おへそから下のお腹の中身をすべて持っていかれるような、ものすごい力が加わりました。「ウァー!」心の中で叫びます。
「林先生、押して押して押して下さい!」小山先生の緊張した声が響きます。林先生も「はい!」と、またものすごい力が加わります。うわー全部持っていかれそう!もう苦しい!
これまで経験したことのない、これ以上ない痛みで体中がどうにかなりそうです。もうこれ以上は もうこれ以上は もうこれ以上は・・・。
すると、「おぎゃー!おぎゃー!」元気なうぶごえが響き渡りました。
産まれました。10時22分
「反後さんおめでとう。元気な女の子ですよ」
「エーッ 女の子?」その瞬間、私は無事に生まれた赤ちゃんの泣き声を聞きながら、
どどどーっと涙が流れました。
「ほら、元気な女の子ですよ」
アイマスクをはずされ、元気な赤ちゃんとの対面です。ほんの数秒でした。でも涙があふれて止まりません
「本当によかったね。よくがんばったね。もう眠っていいよ。さぁ眠りましょう」
そういって、私の肩に今度こそ意識がなくなる注射が打たれました。
よかったーその安堵感と共に私は深い眠りにつきました。
6月26日AM10:22 反後歌梨 2711g。とても元気な女の子。
神さま、ありがとうございます。私は1男1女の母になります。1男1女の母としてのスタートです。
つづく
 

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