かりんどたばた出産報告「赤ちゃんへの手紙」の巻 | |||||||||
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6月25日(火)PM3:00 突然の【帝王切開宣告】に呆然としている私を、看護婦さんが2階の病棟に案内してくれました。お昼ご飯を食べずじまいでしたから、さっそく軽い食事が用意されていました。 「反後さん。お食事ですよ。」 そういって、私の昼食を運んできてくれたのは、くりくりした目が印象的な助産婦の沖田さんでした。(この沖田さんが私の担当で、このあと入院期間中、大変お世話になりました) |
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とにかく空腹を満たそうと(お腹の赤ちゃんのためにも…なんたって明日産まれることが決まったのですから、少しでも栄養をとってほしいからですね)目の前のパンを頬張りました。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
そこへ、先ほど連絡した妹が駆けつけてくれました。お産に代わる手術のための入院セットを持って… 「なんで、いつも姉ちゃんばかりがこんなめに遇うとかね」… 「わたしの人生って本当に踏んだりけったりだよね。」二人の会話には悲壮感が漂っていました。 妹と話し、沖田さんの問診を終え、『まな板の上の鯉』を覚悟しながらも、なかなか踏ん切りのつかない(笑顔で話せない)その頃の私でした。 |
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さてそのあとは、手術前日のお決まりの日程です。レントゲンや心電図などの検査・剃毛・下剤…(一夜明けると浣腸や点滴なども)…私の最も苦手とするところです。 そのお決まりのコースをたどりながら、何とか「いよいよなんだ」と落ち着きを取り戻していきました。 |
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そして夜の面会時間ももう少しという頃、ようやく家族が駆けつけてくれました。 主人、長男の雄大、私の母…皆一様な表情です。突然の展開についての戸惑いと不安・そしていよいよ生まれるんだなという期待感も…。「ママ 頑張ってね」まだいろいろなことが納得はいかないけれども、とにかく精一杯言ってくれた、雄大のその一言が、私の唯一の励みとなりました。 そして思いました。 |
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これまで赤ちゃんがほしくてもなかなか授からなかった頃のことを…。そうです!何よりも兄弟をほしがっていた「大ちゃん」のために、これまでどんなにつらいことや、苦しい痛い目にあっても乗り越えてこられたのです。大ちゃんに兄弟をプレゼントしてあげたい…その一心で今日まで頑張ってこられたのでした。 そして、いよいよ赤ちゃんを授かった妊娠中のこと、この出産前日に至るまでのこと…。遠い道のりでしたが、過ぎてしまえばあっという間です。 そんなことを考えながら、わたしは、いつのまにか眠りについていました。 |
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一夜明けて6月26日(水) とても気持ちの良い目覚めでした。 私のいつもの打たれ強さが、またこの土壇場で発揮されたようです。そう…どんなにつらいことが起きても、私って一晩寝ると気持ちをグーンと切り替えることができるタイプなのです。 |
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いい天気だなあ」・・・私はいつのまにかペンを握っていました。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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そこまで書いたところで、手術当日の一連の流れが始まりました。 「反後さん。おはようございます。」助産婦の沖田さんです。 「おはようございます。きのうはすみませんね。余裕がなくって。ようやく気持ちの整理もつきましたから。」 「いいえとんでもない。ああ でもよかった。今日はとてもいい笑顔ですね。こんなに早く反後さんのいいお顔が見られるとは思いませんでした。ほんとうによかったです。」 「こちらこそ。よろしくお願いしますね。」 |
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術着に着替え、点滴・注射… そこへ、主人も手術の立会いのためやってきてくれました。妹と甥っこの将平も幼稚園に行く前に励ましに来てくれました。主人の手には、夕べ大ちゃんが遅くまで一生懸命作ってくれたという手作りのお守りと、色紙で折った朝顔のお花がたくさんついたきれいな袋、そしてその中にお手紙が入っていました。 |
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ママへ しゅづつ(手術のことです)がんばってね。 あかちゃん げんきに うまれてくるといいね。 ママのこと あかちゃんのこと いつもおいのりしているからね。 ママ はやくたいいんしてきてね。 ゆうだいより |
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「ありがとう 大ちゃん」 私は心の中でつぶやきました。「今朝は、元気よく登校したから」その主人の一言にとても安心して… |
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そこへ、小山先生がこられました。 「反後さん大丈夫ですか?いよいよですね。がんばりましょう」 「先生よろしくお願いします」 主人と同様、深深と頭を下げます。主人が続けます。 「手術中は私が付き添っております。また昨日手術の説明にあったように、もし輸血が必要になったときは、ここにいる妹が同じ血液型ですので、よろしくお願いします。」 「いつでも呼んでいただけるよう待機していますので」妹も言ってくれました。 「わかりました。」 |
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時計の針が手術の予定の一時間前を指す頃、いよいよ手術室からストレッチャーで、お迎えがこられました。そして最後の注射です。「ああ。この注射をうつと眠くなるもんね。」私はそう沖田さんに言いました。 でも、沖田さんは「ええ」とちょっと顔をこわばらせました。「へんだな?」そう思いましたが…「さあ 反後さん行きましょう。」その言葉に、そのことはかき消されてしまいました。 「じゃあ頑張ってこいよ」主人の言葉に肯き部屋を出るとき、思いもかけない嬉しいことがありました。 「反後さん」そう言って私の手を握り締め手術室までついていってくれたのは、6年前長男の出産の時にお世話になった助産婦さん『武谷さん』でした。「担当じゃないんだけどね。とにかく頑張ってと言いたくて来たんです。」武谷さんの手の温もりは今でも忘れられません。 「ああ。みんなに励ましてもらってありがたい!」 そしていよいよ手術室へ入ります。6月26日AM10:00を迎えようとしていました。 |
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≫つづく | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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