エコマンションの建設日記「第1章−1.はじまりのはじまりは出産」 | |||||||||
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2001年3月15日「ECO‐WING21」完成・そして引渡しを受ける。 それから約2ヶ月が過ぎました。この間に、各方面からの見学が相継ぎました。 まずその方々は口を揃えて、 「どうしてこんなマンションを建てようと思ったのですか?」 と動機について尋ねられました。 確かに、私が逆の立場だったら同じことを尋ねるのでしょう。 ですがわたしは、最初のうちその質問に戸惑いました。 なぜなら、私にとってはこういう建物を建てるのは、もう当たり前の感覚になってしまっていたからです。 そこで、「どうしてこんな感覚が当たり前になっちゃったんだろう?」 と振り返ると、やっぱり私の場合、5年前に経験した「初めての出産」にさかのぼっていくのです。 1995年9月12日私は、予定日より三週間ほど早く、2703gの男の子を自然分娩にて出産しました。 わざわざ「自然分娩」などと書くにはふか〜い訳があるのです。 というのも、1984年22歳で左卵巣の摘出と右卵巣の膿腫をとる手術を受け、そして、87年 25歳で結婚して以来まる8年、私はなが〜いトンネルに入ったかのような不妊に悩む主婦時代を経験していました。 その間、90年29歳のときには、また右卵巣にできた膿腫をとる2回目の手術も受けていました。人の半分もない卵巣… 8年も授からなければ、さすがに本人も周りの人も「もう無理だろう」と半ばあきらめていたころ、ようやく待望の赤ちゃんを授かったのです! 長かった不妊治療、肉体的にも精神的にもそして経済的にも本当に言葉には出来ないほどの負担(いつかこの問題については別枠でコーナーを設けたいと思っているのです)を経験した末のようやくの妊娠でした! そして、やっと妊娠したにもかかわらず、何度も流・早産しかけ、妊娠期間のほとんどを入院生活。(マタニティなど着る暇ないよ!) しかも、24時間早産予防の点滴を受けて、ベッドに張りつけ状態。 食事も、汚い話し排泄も全てベッドの上で、寝たきりの姿勢で行うというとても悲惨な妊娠生活だったのです。 それでもお医者さんや、看護婦さん、家族の励ましを受けながらようやくもう出産してもいいよという36週に入り、点滴をはずしてもらったとたん、今度はお医者さんの方から 「波戸内さん、赤ちゃんの心拍に異常が見られます。早く出して(産んで)あげたほうがいいようです。」 との言葉。私は、退院するどころか陣痛室へ直行。 そのまま、今度は陣痛促進の点滴を受け、まる3日。這うようにして分娩台に上ったのでした。 男性にはわからないでしょうが、どんなに待望の出産とはいえ、やっぱり怖いのです。 私の場合、怖いと思う気持ちが強くって、それが子宮口をなかなか開かせなかったのです。 そのとき、ベテランの助産婦さんがやって来てこう言われました。 「波戸内さん、あなたが怖いと思えば思うほど子宮口は開かないよ。 そして、あなた以上におなかの赤ちゃんは、せっかく外に出ようと一生懸命頑張っているのに、出られなくて、あなた以上に苦しい思いをしているよ。」 その言葉に、私の中の母性に火がついてしまいました! そうだ。私より赤ちゃんの方がもっと苦しい。がんばんなきゃ!私母親だった!そんな感じです。 そのとたんあんなにひらかなかった子宮口がひらく!ひらく! 不思議なもんですよねえ… 何十回?何百回?という陣痛の波を乗り越えた末、寝たきりで脚力もほとんどなく、妹の肩につかまりながら足を動かし(歩くというよりそんな感じ)やっと上った分娩台。 さあいよいよ産まれます というその瞬間、いったい私のどこにまだこんな力が残っていたのだろうと いわんばかりのありったけの力が湧いてきて 「波戸内さん、さあ、いきんで!」という助産婦さんの言葉と同時に「うを〜!」といった感じのいきみを起こせたのです! もちろん助産婦さんがお腹に体中でのるようにして押さえてくれました。その三回目。 「ぎゃお〜!ぎゃお〜!」(おぎゃあ!じゃなかった) 元気な男の子の誕生でした。(りっぱなチンチンがついていました!) このなかなか人に経験できないような手術や不妊・妊娠生活・そして出産という経験は、その後の私の人生を大きく変えていくのでした。 |
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