エコマンションの建設日記「第3章−1.遅かった・・・あと1日」 | |||||||||
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Chapter2の第8回でお話したとおり、建物の外観のデザインは、私の主人が担当してくれていました。 「熊本の商売や流通の発祥地・船着場もあったり、またお寺も多く・・・その古い街並みと、今の建物がうまくマッチするように・・・」といった主人なりの外観についてのコンセプトがあり、設計士さんにもずいぶん注文をだしていました。 ですが、残念ながらその思いはなかなか形として示されることは無く(つまり、気に入ったデザインができてこなかったわけです・・・)何回めかのやり取りのなか、とうとう主人の方があきらめました。「しかたがないのかな?」そんな思いのようでした。 そうしながらも主人は、忙しい仕事(玉名の病院経営)の合間を縫っては、迫り来る入札の準備や、さくらシステムの内容に沿って、熊本市役所との交渉をしてくれていました。 また主人は、いよいよA設計事務所との正式な契約内容を詰めていたのです。今思うと残念なことに、この頃は夫婦でとても忙しい時期でコミュニケーション不足でした。わたしは、正直に言って「A事務所との正式な契約」に二の足を踏んでいましたが、主人は全てに満足はいかないけれども、差し迫る日程のなか着々と契約内容を詰めていたのでした。 さて、その頃の私はというと、納得のいかない悶々とした日々を過ごしていました。 そんなあるとき、私が不妊治療のため、10年来通い詰めている整体の先生(城島先生)からこんなお話がありました。 「娘が家を新築したんだよ。なんか熊本でも有名な建築士の設計らしいんだ。私はちょっと気に入らないところもあるんだが、一回見に行ってみないかね。あなたの仕事の参考にでもなれば・・・」 私が治療のたびに、愚痴をこぼしていたので、先生も良かれと思ってそうおっしゃって下さったのだろうと思います。 そんなにおっしゃって下さるなら・・・私は、さっそく城島先生の案内で、そのお宅を拝見しに行きました。 小高い山の中腹に建ったそのお宅は、真っ青な空に映えた白い漆喰壁がまぶしいくらいの素敵な2階建ての洋館です。一見、特別複雑なつくりではないのですが、一歩中に入りますとその空間の素晴らしさに驚きます。 「わあー」私は思わず声をあげてしまいます。 40ミリの無垢板に素足の感触はなんとも云えません。外観と同じように、うち壁も白一色の漆喰です。吹き抜けのリビングには高い煙突の暖炉が、まるでこの家を見守るかのように立っています。窓は特注の寸法で外の景色が、すっぽりと家の中まで入り込んでくるかのようです。熊本城をはじめとして熊本市内が一望できるロケーションはこの家ならではです。 ほかにも、洗濯物を外には干せるけれど、けっして外からは見えない細工や、心憎いほどの、様々な生活臭を消してスマートに暮らす工夫がいっぱいでした。 「いいなあ・・・」 本当にその時そう思いました。 住宅雑誌のトップを飾るかのようなそのお宅のダイニングテーブルについて、私は城島先生のお嬢さん、つまりはこの家の奥様から、ここの建築についてのエピソードなどを聞きました。そしてついつい、今私が行っているマンション建設についての悩みを打ち明けてしまいました。するとその奥様曰く、 「そんなにお悩みなら、ここを建てた設計士の先生にお話されませんか?きっと快く相談にのって下さいますよ。」とのことでした。 飛びつきたいほどの申し出でしたが、 「うちはもうすでに、ほかの設計事務所と契約したも同然で進んでいますので・・・残念ですけどあきらめます。ですが、今日はとてもいいものを見せていただきました。ここのようにはとてもいきませんが、すこしでも近づけるよう、素人なりにまた勉強します。」 そう言って私は、うらやましさと、そしてなんとも云えない本当に空虚な思いを抱えてそのお宅をあとにしました。 「こんな家も建てられるのに・・・なぜ私にはできないのか・・・」 その夜、私は主人の帰りを待ちかねていました。今日の「お宅訪問」のことを話したくて・・・。 そして「もし間に合うものならば・・・設計事務所の変更は可能だろうか」 私は思いきって主人にそう打ち明けるつもりでした。もちろん怒られるのを覚悟でです。 ところが待っていたその私に 主人の第一声は 「今日A事務所との正式な契約を済ませたから・・・手付も払ったから・・・」 だったのです。 わたしは、それこそ金槌で頭を叩かれたおもいでした。 「遅かった・・・あと一日・・・」 <後悔先に立たず>とはこのことです。もういよいよどうしようもない。 「ズッシーン!」と、またまたこの私に、「責任」というおもーいおもーい荷物を背負わされたようでした。 その数日後、私は、入札に出す図面と仕様についてのそれこそ最終打ち合わせを、かねくらの事務所で行うのです。BさんCさん両設計士さんと例のインテリアコーディネーター(I・C)さんとの、いよいよ最終の詰めを行うときがやってきました。 そして、そこで私は、本当に信じられないものを見せられるのでした・・・。 |
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