エコマンションの建設日記「第3章−4.1億円オーバー」
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マンション建設日記  
━━━(第1章)━━━
1. はじまりのはじまりは出産
2. 不思議な体験
3. 息子の心臓に穴
4. -倒産・再建・そして-
5. 妹の死と廃業
6. 不動産業についての持論と設計の基本
 
7. 二人の助産婦さんと一冊の本との出会い
 
━━━(第2章)━━━
1. 私がシックハウス症候群?
2. 誰に相談するのか?
3. 誰に相談するのか?
-設計士編-
 
4. 設計士さんへの意思の伝え方と契約のポイント
 
5. 建築を知らなくてもできる平面プランの作り方
 
6. むっずかしい〜自宅プラン
7. えっ?好みが違う?
なるほど・・・
 
8. 夫婦で二人三脚
9. 資金計画です。-@
10. やってやろうじゃないの!
-資金計画ですA-
 
━━━(第3章)━━━
1. 遅かった・・・あと1日
2. 何を聞いていたの?
3. 1本の電話から
4. 1億円オーバー
5. 潔く
6. 沈黙のとき
7. 願いのとき
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第3章−4.1億円オーバー
―梅雨の晴れ間―木々の緑に昨日まで降り続いた雨のしずくが、朝陽を受けてはキラキラと光り輝いていました。さわやかだな!・・・

 その日、私は、建設資金の借り入れの手続きのため住宅金融公庫を訪ねていました。
ひととおりの経過を終えて外に出た私を待ち構えていたものは、そのさわやかさを瞬時に忘れさせるものでした。

 融資を受ける手続きは順調に進んでいました。気を良くして公庫の駐車場に立つ私を呼び止めたのは、例のB設計士さんでした。そして、その隣に立っていたのは私の主人でした。
「奥さん、入札の結果が出ました。」
そういって差し出された一枚の紙は、(chapter3-第2回(「何を聞いていたの?」))でお話した、あの朱書きで訂正され原形をとどめることのなかった仕様書と基本図面に基づいて)建設会社数社から提出された入札結果でした。入札結果・・つまりは、「当社は、この図面や仕様のものであれば、いくらでなら請け負います。」という返事が来たようなものです。
「えっ!」
そこに並んでいたのは、予想をはるかに超えた数字ばかりです。A設計事務所とも相談し、当初予算として約4億を見込んでいましたが、その表に並んだ数字は約5億、なかには6億近い数字までもが並んでいました。

 今だからわかるのですが、その桁違いの数字を出したところは、「入札に参加すると手は挙げましたが、実はこういう内容であればご遠慮したい」という意思の表れでもあるのですね・・・(笑)もちろん当時の私は、そんなことを考える余裕もなく、ただ並べられた数字の羅列に唖然とするばかりでした。

 そしてその私にまた追い討ちをかけたのは、Bさんの一言でした。
「私が、エコで建てたいといったから、こういう結果になったのですかね?」そう言ってしまうかしまわないかのうちに、
「そうです。そのとおりです。奥さんがそうしたいと言われたばっかりに、こういう結果が出たんです。」
その瞬間、私はまた絶句してしまいました。
 どうしてこうも平然と、目の前に並ぶ非現実的な数字の責任を私一人に背負わせようとできるのか・・・。
 この半年、こちらの予算を十分承知した上で、すべての事を進めてきたのではなかったのか?あなた方の建築設計事務所としての(プロとしての)ことの進め方、リードの仕方に何も問題がなかったというのだろうか?

 心の中で、ここまで精一杯張り詰めてきたものが、「プツリ」と音をたてて切れてしまったのを感じました。
「もういい。もういい・・・もうやれない。」

 呆然として立ち尽くす私を気遣いながらも、主人は、Bさんと「この建築を断念するのか、再度、設計をやり直して入札をやり直すのか」つまりは次の段階の打ち合わせに入っていました。通常の感覚であればそれは当たり前のことだと思います。


 普通の経営感覚を持つ経営者であるならば、この時点で、マンション建築そのものを断念するか、大幅に軌道修正したもの(当たり前のローコストマンションに)をまた設計し直すかの選択に、当然入るべきでしょう。
建築の「いろは」も分からない一人の主婦に、大きく立ちはだかった現実は、梅雨の晴れ間の爽やかさとは対照的に、苦々しく映ります。・・・

 しかし、そんな現実にもかかわらず、私のエコマンション建設の夢は全く揺らぎません。

「1億円オーバー!」
「私のせいですって?」

悔しい。上等じゃあないの!絶対にクリアしてやる。絶対に建ててみせる。
なぜ否定から入るのか。肯定しようと試みないのか!
 私の心の中の「もうやれない。」のその答えはただひとつ。「もうこの人たちとはやれない・・・。」

なぜ建物を建てるのに、その建物を使う人やなかに住む人の健康にいいもの、少しでも使い勝手のいいものを建てようとすることが、こんなにも非常識扱いをされなきゃならないのだろう?おかしい。おかしい。」
「私は、私が常識と考えるその価値観を貫きたい。まちがえてはいない。けっしてまちがえてはいない。」

 その当時のどんな建設をめぐる背景も、ありとあらゆる現実も、一母であり、一人の主婦である私の価値観や信念を枉げることはできませんでした。微塵も揺らぎませんでした。それは、(chapter1−第3回(「息子の心臓に穴」))でお話した 息子の心臓に穴があると知らされても、微塵も揺らぐことのなかった、あの母性に通じるところがあったのだと思います。
私にとっての「エコ建築」は、事業という世界での'出産'に等しかったのかもしれません


そして出産だからこそ、これからのエコマンション完成までのプロセスには、大きな痛み(つまり苦労)をともなうのです

 その第一歩を踏み出すべく、私はまた電話の受話器を握ることになります。
 その電話の相手は、主人が、先ほど私の目の前で一生懸命これからの打ち合わせをしてくれていた、B設計士さんの所属される建築設計事務所の所長、Aさんなのでした。

「もしもし、お久しぶりです。大変ご無沙汰しております。お変わりございませんか?所長さんがお忙しいのは重々承知していますが、ぜひともお時間をとっていただけませんか?お会いしていただけませんか?・・・」
「ああ、奥さんご無沙汰しております。どうされましたか?お急ぎのようですね。わかりました。では、そちらの事務所に出かけてまいります。」
「ありがとうございます。それでは、お待ち申し上げます・・・。」

―ひとつの決戦のときが来ました―

 

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