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今回あるアレルギーのお子様をもたれるご家族(ご両親とお子さま二人の4人家族)が、ご家庭の事情により、自然素材ホールへ長期でご宿泊なさいました。
大変お気に召していただき、その宿泊の間に、数組のお子様連れのお友達を私が知らないうちに何度かご招待されておりました。
私は、一度「お友達が、自然素材マンションのご見学におみえであるのなら、ぜひご連絡いただき、日程を調整しますので、私に当建物の特徴やこの建築についての想いなどをお話させてください」とお願いしました。
そのお客様は、もちろん悪気はなく、'ウイークリーマンションと勘違いして、とても気持ちが良かったので宣伝のような気持ちで'お友達をお呼びになっていたそうです。
「宣伝であるならなおのこと、私自身の口から説明しますから」とつけ加えましたが、その後もお友達の建築士の方などを、ご招待されておりました・・・。
残念ですが、その後のご利用については、ご家族に限らせていただきたい旨お申し出しましたところ、そのお客様(お母様)より、丁寧なお詫びのお手紙をいただきました。
本当に心温まるものでした。
そして、私もそのお母様にお返事をさし上げました。 以下は、その私が書いた手紙の内容です。 |
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○○様
今回は、ご縁があり当ホールをご利用いただきましてありがとうございました。
○○様ご夫婦が、子供さんの健康を守るため、言葉にはできないほどのご苦労をなさっていらっしゃること、本当にこちらこそ頭の下がる思いです。私どもで何かお手伝いすることができれば、幸いに存じます。
本日は、思いのあまり語気を強く申し上げましたこと、どうぞお許し下さい。
ただご理解いただきたいその一心でございます。
ホームページの建設日記もまだまだこれからなのですが、子供を出産し、なかなか思うように仕事に集中する時間もとれません。ですが、建設にあたっての初期の思いとしては、あれが全てであったとふり返れます。
"私は本物がつくりたかった"ただそれだけでした。本物はなに?本当に子供たちの時代に残せるものはなに?なぜ皆それを語らないの?
なぜそれをつくろうとしないの?私の純粋な思いは、建設業や役所の常識とはかけ離れ、たくさんの軋轢を生み、、たくさんのトラブルを招きました。
まけたくない・・・歯を食いしばる私に、家族も皆、もうこれくらいでやめといたらとどれだけブレーキをかけたかしれません。でも私はゴールを目指し進み続けました。
実は、私は昨年よりエコマンション二棟めの設計に入りながら、中断を余儀なくされてしまいました。「ずいぶん時代が変わった。法も整備されてきた」と人はいっています。とんでもありません。私たちが高度成長期につくり、そして壊したものが、いまだに子供たちの心も体もむしばみ続けています。おそらく、しばらくは、このマンション以上に本物に近いものは建てられないでしょう、誰も・・・とても残念なことです。しかし、それが今の建築業界の常識であるなら、私たち"親"が、その子供を思う熱い心で少しづつでもそれを変えてゆくしかありません。
○○さんのお子さんたちのようなアレルギーをお持ちの子供たちこそ、誰よりも守られ、そして、誰にも負けないくらいのとびきりの笑顔をプレゼントされるべきです。私たちにそのまちがいを体中で教えてくれているのですから・・・
私は37才の時3億円という借金を背負う覚悟をしてこの建物を建てました。誰のためでもなく、誰かにそうされたわけでもなく、それが私に与えられた(ひょっとしたら私が生を受けた)意味そのものであったからでは・・・と受け止めています。
この思いは、私にしか語れないのです。誰にもその代わりはできないのです。だから、それをわかっていただきたかったのです。
申しわけありません。でもどうぞご理解いただいて、これからも、こちらこそ、どうぞ末永くおつきあい下さいませ。
末筆ながら、○○様ご一家のご健康を心より祈念いたしております。
とり急ぎお詫びとお礼まで |
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平成15年4月17日
反後 人美 |
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自然素材ホールを、これまでもいろいろな方々にご利用いただいてきました。
そしてこれからもたくさんの方々にご利用いただきたいと願っています。
それは、少しでもたくさんの方々にこういう自然のものに囲まれた、とても気持ちのいいすばらしい空間を体験していただいて、そしてひとつでも多くの木の家(たとえコンクリート住宅であっても木や自然素材をよりたくさん取り入れた家)が増えることを心から願っているからなのです。それは、誰のためでもない、これからを担う子供たちのためを思うからなのです。ただ・・・ただそれだけなのです。
反後人美 |
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