RIPPLE日記:「お仏壇とTV」 | |||||||||
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―美紀の命日12回忌によせて― 仏壇に手を合わせながら、11年前の今日の日のこと、そしてこの11年間の出来事に改めて思いを寄せました。 お経が終わると、お茶を飲みながら、いつものようにご住職と家族の近況などを話します。 昔の家(大家族)と、今の家(核家族)との大きな違いは、家の真ん中(中心)に何があったかということなのかもしれないと・・・。 明らかに昔の家の中心は、うちのように仏教のお宅であれば、それは「お仏壇」だったということなのです。 私たちは、今ここに生きていることを、あたかも当たり前のようにとらえていることが多いのではないでしょうか? ですが、私たちの命の誕生には、確実に父母の存在があり、そして祖父母の存在があり・・・それをたどれば何代もの命の営みがありますよね。 その延長上に、私たちは本当に生命の神秘さのなかから生み出されているといえます。 まさしく、神秘なのです。 家の中心に、その神秘さを教えてくれる、というか、考えさせてくれる「お仏壇」があった時代には、こうも簡単に命を軽視したり、自己中心的な考えが蔓延することはなかったようですね。 ご住職がおっしゃいます。「いま、家を建ててもお仏壇を置く家などまずありませんね。 それをなぜ?と尋ねると誰もが「だって、家族は今、皆健在で、亡くなっていないから」という答えを返してこられます。そもそもお仏壇とは、誰かがなくなってから買うものではなく、昔であれば家を建てたらお仏壇を家の中心にすえ、一日の始まりに、その日の無事を祈り、一日の終わりに、その日の無事を感謝してきたものでした。」と。 私の実家を振りかえってもそのことがよくわかります。私が16歳のとき、父は46歳にしてようやく念願のマイホームを建てたのですが、そこには仏間があり、もちろんお仏壇も購入しました。が・・・ それまで、うちに仏壇のなかった、つまり毎日、仏様に手を合わせる習慣のなかった私たち姉妹には、いまさらそれを習慣づけようとしても、なかなか身につくことではありませんでした。 それが11年前、妹が亡くなってしまってから、お仏壇への態度が一変してしまいました。 毎朝、最初に入れたお茶と炊き立てのご飯をお仏壇に上げてから、私たちの朝食は始まります。11年も経つとさすがに仏壇の前に座る時間こそ短くはなってきましたが、ですが、今でも、朝夕必ず手を合わせ、今日の日の安全を祈りそして感謝する毎日です。 私は、お仏壇に手を合わせ目を閉じることによって、一日のほんの数分の間、われを振り返ることができてきたように思います。そして亡くなった人たちのことも少しですが、考えることができるようになったと思います。 ご住職は続けておっしゃいました。 「現代の家族の崩壊は、ガスコンロと電子レンジの登場から始まったのでは?なぜなら、昔は『かまど』しかなかったので、火が起こせる時間は決まっていた。だから必ず食事の時間が決まっていて、その時間がくれば家族みんなが集まってきていたのです。今は、いつでも食べたいときに食べられる。なかには作らなくても買ってきてチン!で食べられる。だから、家族が集まる必要がなくなり、母親としての役割も薄れてきたのです。」と。 なるほどなあ・・・と納得してしまいました。 では、今の家族(家)の中心にあるものといったら何だろう? ピンとひらめいたのは、やっぱりTVでした。 大型TV が、家の主役とばかりにドンと居座っているなあ・・・と。 そういう私に、ご住職は言われます。 「そのTVも、今は一人1台だったりして、皆自分の部屋にこもっていますね。最近はそのうえにパソコンもあり、ケイタイもあり・・・。」 家族で語らう時間などいったいあるのかな?といった調子ですね。 一方的に情報を発信してくるTV。おまけに体に有害な電磁波もいっしょに! もちろん有益な情報の提供だってあります。だけど、まだ、その情報の正確さなど判断できない子供たちに、選ぶ能力をその環境の中で養ってと願うことは無理なことでは? やはり、ほとんどの子供たちにとっては、一方的な情報の伝達に他ならないのでは?と思います。 私は11年間、毎日仏壇に手を合わせる生活をしてみて思うのです。 自分に問いかける時間の大切さ、そして自分の力だけではどうにもならない神秘的なもの(命の源)への感謝の気持ちをはぐくむ大切さ。 TVも娯楽の一つ(道具)として、あくまで使うこちらの価値基準をしっかり持ちたいと。 皆さんお仏壇に手を合わせましょう!とまでは言いませんが・・・ 今日から始めませんか?30分、就寝前でもいいからTVもパソコンも消して、静かな時間を楽しみませんか? 始めのうちは、すごく淋しく感じるかもしれませんが、一人暮らしの人であれば自分を見つめる時間が生まれます。たまにはその時間にご家族に電話してみませんか? そして家族であれば、必ずといっていいほど会話が生まれます。 どんなことでもいいじゃないですか!馬鹿話でも・・・ 今年の命日も、天国の向こうから「姉ちゃん!あのね、気付いたことがあるとよ。」そういって亡くなった妹が、忘れちゃいけない何かに、気付くようにと語りかけてくれたのでしょうね。 |
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平成16年5月6日(木) |
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