RIPPLE日記:聖徳太子 SAYS 『大和の国は戦わず』 | |||||||||
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2001.9.11 N.Y.ツインタワービルに民間航空機が激突するという衝撃のあの日以来、ずっとずっと書きたくて、でも自分なりの価値観がどうしてもまとまらずに時間だけが過ぎていってしまいました。 時は6世紀末から7世紀に遡ります。当時の日本は豪族たちによる権力争いに皇族も巻き込まれ、血で血を洗う戦いが繰り返されていました。聖徳太子ももちろんそのなかにあって、「争いを起こす豪族たちではなく、その戦いのたびにかり出される民衆」に思いを馳せてゆきます。「民は争いのたびに家族をおきざりにし、大事にしている田畑を放りださなくてはならない。そして、戦いの最前線にあって殺され、あるいは負傷したりする。」その民衆たちの嘆きや悲しみの方が、聖徳太子の心を強く揺さぶるのです。「この者たちを早く家族の元に返そう」そのために聖徳太子は戦っていました。 さて一方、中国大陸は隋という大国が治めており、安定した一大国家を築いていました。その隋では「たとえ身分の低い者であっても能力のある者はどんどん登用している」ということを聖徳太子は聞き及びます。隋の話をきくたび、聖徳太子はその魅力にひかれ、「大和の国」と国交を結んでもらうため「小野妹子」をはじめとする第1回目の遣隋使を派遣します。しかし、当時の大和の国は隋のような憲法も何ももたず、国家として認められませんでした。 「戦いに勝った者が領土を増やし、利権をむさぼる」…そのやり方にしか生きられない豪族たちは、聖徳太子のやり方に不満を高めるばかりでした。「当時、国交のあったお隣の国、百済に新羅が攻めてくる」という情報に、「百済に援軍を送る」という名目で、また民衆を巻き添えにし、戦いに挑むと血気にはやります。聖徳太子はその豪族たちの熱を冷ますため、豪族たちの派兵を許します。しかし、「援軍は那の津(博多)で足止めし決して戦ってはならぬ、我が国は戦わぬのだ」という決死の命題を与え、聖徳太子は援軍の頭として愛する弟を送り込みます。 聖徳太子の時代から現代まで、1400年もの間「平和と安定」を求めてはいくつもの犠牲が払われてきましたね。我が国での一番最近のものとしてあの「太平洋戦争」があげられます。日本のはるか長い歴史のなかでは、ほんの50数年前に起きたあの大戦です。当時の戦争体験を祖母や母から聴いています。「夫やその兄弟を戦争にとられ、幼な子を抱え食べものを追い求めた」(祖母)、「長崎に落とされた原爆の『きのこ雲』を、幼な心に焼きつかせている」(母) …まるで空爆の最中にある今のアフガニスタンの難民の話のようです。また、特攻隊を命ぜられ、鹿児島の前戦に赴きながら終戦を迎え、『生き残り兵』として戦争を語り継いでくださっている方々の話も聴きました。 N.Yのツインタワービルの崩壊という(その瞬間に何千人という人の命が奪われた)現実を目のあたりにして、そして「そのテロへの報復」として、今なお続く攻撃…、その戦火のもと餓えと寒さに苦しむ難民たち…。どちらも何の罪もない民に他ならないのですよね。人の命に比重などあるはずもなく、一人一人皆平和を望み、幸福になる権利を持つ同じ人間なのです。 日本には「お陰さまで」という素晴らしい言葉があります。人は一人では生きられませんよね。「皆さんのお陰で今の私があるのです」 …そういった感謝の気持ちをもって、謙虚な心を大切にすれば、そして「私はあなたのことをいつでも思っているよ。忘れてはいないよ。」…といったメッセージをつねに送り続けること、心を届けることを忘れなければ、「憎悪の心」に何かの光をさしこむこともできるかもしれません。飢えていては平和も語れませんよね。お腹をパンと温かいスープで満たし、寒さをしのぐ毛布にくるまり、傷ついた心を本当にいやすケアがあってはじめて自分達の将来を語るゆとりも生まれるのではないでしょうか。今深く傷つき、苦しんでいる全ての人にこのケアを受ける権利があると思います。 私達夫婦には、ロサンゼルスにもう在往して20年ほどなる友人がいます。彼は現地で結婚し、可愛い女の子とうちの長男と年の近い男の子の4人で平和な家庭を築き、ツアー関連の会社を経営しています。当然のことながら子どもたちも深く傷つき、仕事も大打撃です。「頑張ろう」という私のメールに、彼も現状を率直に語ってくれました。もうすぐX'mas。去年は日本からおもちゃを送ったのですが、今年は炭そ菌のニュースから郵便物も思うように送れません。頑張ろうね。時間は少しかかるかもしれないけど。 私達親世代の責任は、決して今の現実に背を向けずに、そして関心を寄せつづけ、わかりやすいやさしい言葉で子どもたちに語りつづけることではないでしょうか。それこそ、今
どれだけの恵まれない子どもたちが、同じ地球上に生きているのか…。今 自分たちがどれだけの犠牲のもとに、こんなに恵まれた環境に生きていられるのか…。そのことに感謝しようね。そのことを皆といっしょに心配しようね。 「大和の国は戦わぬ」…そう自分は血を流しながらも貫きとおした立派な祖先が日本にもいた。「その指導者の元では、きちんと平和が守りとおされた」 日本にはそんな立派な歴史があったことを忘れないでいたい。誇りに思いたい。「だから私も胸をはって平和について語ろう」ようやくそう思えるようになったのでした。 |
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12月15日(土曜日) 19:30から BS2にて大型ドラマ「聖徳太子」が再放送されます。 |
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